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2009年12月15日火曜日

アーティスト・斉と公平太


アートホリックな人のいまをお届けするこのコーナー。今回は、アーティストの斉と公平太さんにお話をうかがいました。

今年、「斉藤公平」から「斉と公平太」に改名されましたが、どんな理由からですか?

インターネットの無料姓名判断で、運気が上昇するよう改名しました。今年は失業したり、病気になったり、住むところを追い出されたり、アトリエがなくなったりと色々不運が続いたので、藁にもすがる思いで改名しました。

天狗の面のデッサンやロボットや怪獣を思わせるドローイングなどの制作のほか、ポスターや玩具、キャラクターグッズなど既製品を使ったインスタレーション、「LOVEちくん」「ARTくん」といったゆるキャラのデザイン、ARTくんを主人公にした4コママンガなどたいへん幅広い活動をされていますが、それらはどのような関係にありますか?

どれかがメインということは、とくに意識したことはありません、4コマ漫画も最初は何の気なしに書いてましたが、だんだん自分のなかで、メインになってきたりしてと、すべてが制作過程にあると思っています。個々の関係性は、「僕」が自分で作ったり、選んだりしたもの、という共通点以外とくにないんですが、「今,自分にとって、一番有効なのは?」ということを、そのときどきに、模索した結果が、散漫な印象を与えているかもしれません、良く言うと幅広いですが。

こうした活動をとおして、斉とさんが表現したいこと、伝 えたいことはなんですか?

伝えたいことは自分でもよくわかりませんが、見て「馬鹿だなー」と思ってもらえたら良いと思ってます。

既製品のポスターや玩具、ゆるキャラなど、アートとはいえないものを作品に介在させるのはどのような意図からですか?

うまくいえませんが、好きなものをただ並べてるだけとも言えるし、本来もっている意図とは別の意味をもたせて展示するという常套手段とも言えるし、、ただ「アートとはいえないもの」とは僕は思ってないし、自分の作ったものを「アート」だと思われるのも嫌なんですよね。矛盾してますが。「アート」という意図もできれば拒絶したいと思っていて、矛盾しちゃいますが。

ブログにも日常で見つけたかわいらしいキャラクターを写真にとってアップされていますが、そういうものへの興味が「LOVEちくん」などのデザイン につながったのですか?

めちゃつながってますね、ああいうかわいいキャラものと対等になれる表現をめざしてますね。まだまだ到達できてませんが。

あいちトリエンナーレプレイベント「長者町プロジェクト」では、展示スペースを「ショップ」として展開されたのはなぜですか?

キュレ-ターさんとの話しあいできめました。「アート」だと思われたくないという自分の意図と噛み合ったので、そうしました。地方にある、ありそうで、なさそうな、お土産屋のイメージで展開したつもりです。

プレイベントに参加して収穫だったと思えることは何ですか?

展示できただけでおおきな収穫ですね。発表なかなかできない、自分のような無名で貧乏な作家にとってはそれだけでも充分収穫です、ありがたいことです。それといろいろな人たち、スタッフやボランティアスタッフさんや長者町の皆さん、見にきてくれた人、いろいろな人に助けてもらって、できた展覧会だなということを本当に感謝してます。

世紀マ3として、ライブやパフォーマンス活動もされていますが、作品制作とライブやパフォーマンス活動はどんな関係にありますか?

ライブは、KDハポンのモモジさんにさそわれて、やるようになりました。あと同じアトリエだった作家の石田達郎(A,K,Aジェット達)のパフォーマンス活動の影響も大きいです。作品制作との関係は、そのまま作品と同じに受け止めてもらえればいいです。

dot
にも参加されていましたが、参加のきっかけや理由を教えてください。またどんなところにメリットを感じていますか?

dotは今年8月に諸事情により、なくなってしまったのですが…)参加のきっかけは、2005年たまたま埼玉から名古屋にもどってきたてのころ、メンバーの板谷さんが大学の後輩で交流が以前からあったので、出入りしてるうちに、自分も入れてもらうことにしました。メリットという言葉では、言い表わせない、人と人のつながりと、恩恵にあずかりました。dotには本当に感謝してます。

京都のMUZZ PROGRAM SPACE1220日まで開催中の個展では、戦隊ヒーローものに登場するロボットや怪獣を思わせるドローイングを出品されていますが、あいちトリエンナーレ2010ではどんな展開を考えていますか?

あいちトリエンナーレでは、今回長者町プロジェクトで発表したものの発展形を展示する予定です。MUZZの展示は、まだ自分の中では実験段階で、絵だけを展示することが初めてなので、今回その実験にMUZZの皆さんに協力してもらって、感謝してます。

東海のアートシーンについて思うことを教えてください。

自分の知る範囲では、知ってる作家に良い作家が多いので、面白いと思ってます。



■略歴

1972生まれ
1995
名古屋造形芸術大学卒


■おもな展覧会

1994「勉強時代展」ギャラリーPhouse/東京
1998 VOCA98
上野の森美術館/東京
1998
 個展NagamineProject/東京
1999
 個展ギャラリーCANOLFAN/愛知
2005
 第8回岡本太郎記念現代芸術大賞展
    特別賞 川崎市岡本太郎美術館/神奈川
2008
 新進アーティスト発見インあいち
     愛知芸術文化センター2階入り口前/愛知
2009
 長者町プロジェクト
    長者町繊維卸会館1階/愛知


■今後の活動予定

12.19(土)18:30~
名古屋新栄CLUB ROCK'N'ROLL
出演:西洋甲冑Z(GOD-J+イノウエリョウ) / サカモト教授 / Z-Z言語「ウ」 / the act we act / 世紀マ3 / rock our electric soul



写真:《アートくんヌイグルミインスターレション》 2009

2009年9月15日火曜日

アーティスト・青田真也


アートホリックな人のいまをお届けするこのコーナー。今回は、アーティストの青田真也さんにお話をうかがいました。


青田さんといえば日常的な既製品やおもちゃの表面を削った作品が代表的ですが、どういうところから着想されたのですが?

もともとかたちを曖昧にしたいという思いがあって、版画でしかも立体的に作ろうとしていました。
ただやはり技術やいろいろな限界があって、本物を使ってやってみればいいんじゃないかと考えて今の方法を試してみました。
その時にいろんな事が目の前で起きて、これはおもしろいなと考えて始めました。

表面を削ることを通して表現したいことはなんですか?

表現したいことと聞かれると「なぜ作品を作っているのですか?」というような質問と同じで困ってしまうのですが…。それでもこの作品を通していろんな物や事に囲まれて日々過ごしているのだなということにいつも気付かされます。

大学、大学院を通して版画を学ばれていますが、そのことは現在の作品にどう生かされていると思いますか?

直接的に版画の作品を制作していなくても作るプロセスなど繋がっているのかなと漠然と考えたりもしますが、どうなんでしょうか。
でもたまに版画の作品も作ったりもしますし、考え方とかエディションが取れることとかおもしろいなと思います。

昨年は神戸アートビレッジセンターが公募する若手支援プログラムに選ばれ「1 floor 2008 "No potato of name"」に参加されましたが、そこではどんな展示をされたのですか?

KAVCでは3人での展示だったのですが、ギャラリースペースとコミュニティスペースの繋がる2つを1つの空間と考えて展示をしました。僕が『もの』を見せて、八嶋有司さんが映像で吉田周平さんがインスタレーションでした。一見3人の方向性がバラバラに見えるのかもしれないと思ったのですが、見た人には繋がりがあるのではと言われました。

またこの展覧会に参加されて何か得たものはありますか?

作家3人とKAVCの方たちで一から展覧会を立ち上げたのですが、普段作品を作っているだけではわからないようなことをたくさん知りました。あと人の繋がりも大きいですね。

10月10日から始まる、あいちトリエンナーレ2010プレイベント「長者町プロジェクト2009」にも参加されますが「長者町プロジェクト2009」とはどういう展覧会なのですか?

「長者町プロジェクト2009」はあいちトリエンナーレ2010のプレイベントで、来年のトリエンナーレでも長者町地区を使って様々なアーティストの方が展示されるようなのですが、それに先駆けて展覧会が行われます。出品作家は僕の他に淺井裕介さん、トーチカ、KOSUGE1-16、山本高之さん、 石田達郎さん、川見俊さん、斉と公平太さん、ジム・オヴェルメンさんです。会期中には作品展示以外にもパフォーマンスやワークショップなどイベントがたくさん催されます。僕も川見くんと小杉滋樹さん、タン・ルイさんとワークショップを行う予定です。詳しくはhttp://aichitriennale.jp/index.phpにアップされるようです。

「長者町プロジェクト2009」では青田さんのどんな展示が見られそうですか?

既製品を削る作品を以前作ったものから新しく作っているものまで何点か展示する予定です。他にもあるのですがいろいろと変化しそうなのでこの辺にしておきます。
あと別ですが宮崎知恵さんと僕とで、「長者町プロジェクト2009」を含めた3つのプレイベントのスタンプラリーのデザインをさせてもらいました。そちらも楽しんでもらえればと思います。

京都と愛知で学ばれた青田さんですが、東海エリアのアートシーンについてどう思いますか?

人との距離が近くて良いのかなあと思います。好きな作家さんもたくさんいます。



青田 真也  (AOTA Shinya)

1982 大阪府生まれ
2004 - 2005 Rhode Island School of Design(アメリカ)に交換留学
2006 京都精華大学芸術学部造形学科版画専攻 卒業
2008 愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻 修了
Edinburgh College of Artにて滞在制作
      
おもな個展
2005 「個展 」(Benson Hall Gallery/アメリカ)
2008 「years, months, weeks, days」(Sleeper Gallery/エディンバラ)

おもなグループ展
2004 「版読」 (京都精華大学ギャラリーフロール)
2005 「Art Camp in Kunst-Bau」 (Gallery Yamaguchi Kunst-Bau/大阪)
2006 「THE NEW FACES」 (石田大成社ホール/京都)
2007 「INDIRECT」   (長久手中央図書館/愛知)
   「真夜中のSHOW TIME」 (Gallery アートフェチ/愛知)
   「City-net Asia 2007」 (ソウル市立美術館/韓国) 
   「TOKONAMECH’07」 (元常滑丸利陶管工場/愛知)
2008 「1floor –No Potato of Name-」 (Kobe Art Village center/兵庫)
   「群馬青年ビエンナーレ2008」 (群馬県立近代美術館) 
2009「青田真也・西園淳」 (Gallery IND./大阪)
   「長坂常:スキーマ建築計画“HAPPA HOTEL”」アートワークで参加
   (青山|目黒/東京)

受賞歴
2008 群馬青年ビエンナーレ2008 奨励賞

その他
2008 ワークショップ「なにかしらつくってみよー」 (愛知県美術館)
    青田真也、川見俊、小杉滋樹、タン・ルイ


写真:《 》木、170×300×190mm、2008年、作家蔵

2009年6月15日月曜日

よりみち・プロジェクト実行委員会 山口美智留

アートホリックな人のいまをお届けするこのコーナー。今回は、ギャラリーキャプションのスタッフで、よりみち・プロジェクト実行委員会の山口美智留さんにお話をうかがいました。


今回の、よりみちプロジェクト「いつものドアをあける」(2009年5月9日~24日、岐阜駅周辺から玉宮町界隈に点在する雑貨店パンド、八幡神社、カフェココン、岐阜市文化センター街並みギャラリー“陽だまり工房☆”、ギャラリーキャプション)は、これまでのまち系のアートイベントとは違って、アートの立ち位置を低くして日常に寄り添っていく感じの展覧会でしたね。

今回はリーフレット、リリースなどにいっさいアートや美術という言葉を使いませんでした。アートプロジェクトと謳ってしまえばわかりやすいですが、あえてアートという言葉を使わず、どこまでアートを考えられるかと。ギャラリーキャプションがこれまで積み重ねてきた展覧会を通じて生まれた企画として、特に河田政樹さんのアートに対するスタンスがプロジェクトの重要な位置を占めていました。河田さんの「かわだ新書」が本を媒体にアートを考えるというプロジェクトだったように、美術の枠組みから外れたところでアートを考えることはできないか。「アートプロジェクトです」とアートを前提とするのではなくて、雑貨屋さんの商品と同等の物としてアートを並列させられないか。そして、見る人がどうそれを捉えるかに興味がありました。見る人が、自分が何を見ているか、どう物事を受け取っているかを考える試みができるといいなと。


このプロジェクトが生まれたきっかけは?

当初から目指すところがはっきりしていたわけではなかったのですが、いつかは外で展覧会をしてみたいという思いはありました。地方のギャラリーでは見てくれる人数に限りがあるので、見に来てくれないならこちらから出て行きたいと。

雑貨店のパンドさんとカフェのココンさんとはお互い客として行き来していて、それぞれのお客さんにも案内をしていました。であれば、お互いの場所をつないで何かできるのではと考えていたところ、パンドさん店内のギャラリースペースで別のショップが出張販売しているのを知りました。ギャラリー同士で出張店舗というのはありませんが、雑貨屋間ではよくあるそうで、パンドさんがキャプションに出張店舗したら面白いんじゃないかという思いつきから、この企画が始まりました。

お互いの物が入れ替わり、物が動くことでお客さんも動く。雑貨を見に来たお客さんが、作品と思いがけず出会う。キャプションとパンドさんが歩ける距離なので、その周辺のココンさんや八幡神社、文化センターをつないで何かできるのではと概要が決まっていきました。


アートプロジェクトとせずにアートを考える試みにしようとしたのはなぜですか?

キャプションとパンドさんが入れ替わるというのは、どういうことなのかを考えました。パンドさんは行くたびに商品の陳列が替わっていて、商品の入れ替えがなくても2週間くらいで家具も含めて、部屋の模様替えのように商品の配置替えを行っています。同じ物でも置かれた場所や、隣に並ぶ物で見え方が変わるということを常に考えていて、配置が替わるだけで空間が違って見えます。物をどう見せるかを考えているという点では、ギャラリーや作家が行っていると変わりはなく、ギャラリーというニュートラルな場所ならば、日頃からパンドさんが行っていることが際立って見えるのではと考えました。

河田さんからも自作をパンドさんに展示してもらったらどうかという声があり、これまでキャプションで発表した作品のなかから、パンドさんにセレクトから展示までしてもらうことに。商品を仕入れてお店に陳列するのと同じ感覚で作品を展示したらどうなるか、これまで発表した時とは見え方が変わるはずだと。河田さんからの提案で、物をどう提示するか、そしてそれをどう受け取っていくかというプロジェクトの主軸ができました。

雑貨屋がギャラリーで展示することやキャプションと入れ替わることはアートではないかもしれないけど、そういう試みをとおしてアートについて考えていくことになるのでは。そこから、作品と商品の境目がなく、どれが作品でどれが商品なのかわからない状況をつくり出していきました。


場所によって物の見え方が変わるのと同時に、置かれる物により場所の見え方も変わった気がしました。パンドさんの商品によって、キャプションの空間がまったり見えたり。

どんな空間にも言えることですが、空間にはそれぞれ特徴があり、それに合わせて、ここはこんな作品を置くときれいに見えるとか、こちらの意識や空間への接し方が固まっていたことを、パンドさんの展示作業を見ていて感じました。展示物の高さや間隔など作品を展示する場合の決まり事についてパンドさんはご存じないので、逆に私たちがやってはいけないと思っているところにも面白さがあるなあと。いつも自由に展示をしているつもりでしたが、実はそれほどでもなかったと。

今回の展示に際して、パンドさんもこれまで店舗で無意識にやっていたことと向き合わなければならなかったようです。場所や作品と向き合うことは自分と向き合うことなので、自店の商品や河田さんの作品と一から向き合った時に、これまで無意識にやっていたことを改めて見直す機会になったと話されていました。


商店やカフェを使ったアートイベントはほかでもありますが、神社は意外性がありました。

岐阜は車社会なので街中のことを知らない方も多く、八幡神社に馴染みのない人も少なくないので、そういう人たちにも街の魅力的を伝えられたらと。

神社はそこに何か作品を置いたりしなくても、そのものがインスタレーションだと言えるのではないかと思います。鳥居をくぐっただけで、空気が違って感じられたり気持ちが切り変わったりして、体感する要素がたくさんあります。神社そのものを体感してもらえることができないかと、作家の後藤譲さんには敷地内の環境を整備してもらい、持ってきた作品を置くということはしませんでした。作品を置くと、それだけを見て帰ってしまいがち。神社に足を運んでその場所を体感してもらうきっかけを、後藤さんに作っていただきました。

だから、何もなかったと思った人もいるし、神社そのものの魅力を感じた人も。「作品がない」という苦情が来ると覚悟していましたが、想像以上に神社という場所を受け入れてくれた人が多かったようです。作品があると一瞥して帰ってしまうこともできますが、その分だけ長く滞在して「あれが作品かな」「これが作品かな」と思われて、それを持ち帰ってくださったのかなと。結局、そこで気になったものが「作品」と受け止められていたようです。


「いつものドアをあける」というタイトルの意味は?

あえて曖昧なタイトルにしたのは、それに対してイメージするものが人それぞれだろうから。お客さんに対しては、キャプションやパンドさん、ココンさんのドアを開けた時にいつもと違う風景が広がっているということや、日常のドアを開けてみた時に出会える世界があるということなど。主催者側としては外に出て、雑貨屋やギャラリーという枠組みを超えたところで自分たちの普段の取り組みを考え直す機会となれば、というところから。考えていることは外側に対象化しないとなかなか見えてきません。内に向かって考えているよりも、外に映すことでわかるようになると思います。


このプロジェクトをとおして伝えたかったことは?

同じ物を見たり同じ体験をしていても、人によって捉え方がまったく違います。特に神社では、あることとないこととは、いったいどういうことなんだろうと考えてもらえるといいなと。「なんであれがアートなのか」と言う人もいましたが、後藤さんが環境を整備したりしたのはアートではなく、神社に立った人があの場所をどう受けとめたか、そこにアートがあるのではないかと思います。キャプションでは、パンドさんが出張店舗していることを可能な限り伝えましたが、「これが作品?」と思った人も多いはず。物そのものより、ギャラリーとかアートという枠組みの中で物を捉えていることについて考えてもらえたらと思います。

2009年3月15日日曜日

アーティスト・川見俊


アートホリックな人のいまをお届けするこのコーナー。今回は、3月15日から上野の森美術館で開催のVOCA展に出品されるアーティスト・川見俊さんにお話をうかがいました。

川見さんは平面に限らず、立体、映像などさまざまな媒体を使って制作されていますが、今回、平面作家の登竜門と言われるVOCA展に選ばれたお気持ちを聞かせてください。
展示の予定がないと普段あまり制作できないので、良い目標になりました。田舎の家の絵を東京で展示できるのがうれしいです。平面作品を続けていてよかったと思いました。

その作品はキャンパスに油彩やアクリルでではなく板にペンキで描かれていますが、なぜそのように描かれるのですか?
《地方の家》というタイトルで、実在する普通じゃない外観の田舎の家を描いていますが、モチーフの民家は木造で、壁がペンキで塗り変えられているので、自分も木製パネルにペンキで描いています。家を撮影して写真を見て描いていて、今までに40軒描きました。VOCA展では35・36番を展示します。

今後、このシリーズはどのように展開されますか?
もうやめよう、と何度も思いましたがやめてないので、変な家が見つかれば、今後も少しずつ変化しながら続けるかもしれませんが、いまのところ年末から中断しています。かわりに、田舎のモニュメントなどを描いたり(どこどこのなになにシリーズ)、素朴な風景を描いたりしています。

川見さんの作品は平面に限らず思わず笑ってしまうものが多いですが、どんな時に作品のアイデアを着想されるのですか?
アイデアをメモする体勢じゃないとき、アイデアをメモする体勢のときの両方。

こうした作品を発表することをとおして、川見さんが表現したいことや伝えたいことはなんですか?
わかりません。

ではなぜ制作されているのですか?
みんながやっているから。また、近い将来展示できるだろうという予測があるからです。

東海のアートシーンについて感じていることがあれば教えてください。
特にないです。東海で気になる作家は、加藤優一さん、小杉滋樹さん、大杉沙絵子さん、斎藤大二さんなど。

川見俊(かわみしゅん)

1981 静岡県生まれ
2002 アメリカ・カーネギーメロン大学短期留学
2004 名古屋造形芸術大学 視覚伝達デザインコース卒業
2004 名古屋造形芸術大学彫刻コース研究生前期修了

個展
2005 地方の家/at the flat・エジンバラ
2006 /sakurayama studio・名古屋
/ U8projects(名古屋造形芸術大学内)・小牧
 
グループ展
2003「混乱」展/ギャラリー110・常葉
2004 交流展/WHITE HOLE・名古屋造形芸術大学構内・小牧
   新言語vol.2「リアル」/エビスアートラボ・名古屋
   プラチック・アルデンテ/市民ギャラリー矢田・名古屋
   Energetic Extension/supplement space stone&water・韓国
   コンランショー/okada studio・知多
   うんこ展/+ギャラリー・江南
   キリングタイム/アートスペースX・名古屋
   MOVE around/DIVE deep/Hall Way,Post・景園美術大学・韓国
2005 MOVE around/DIVE deep/市民ギャラリー矢田・名古屋   
   字界へ-隘路のかたち/長久手町文化の家その他・長久手
2006 ART LABO ANNUAL 2006/エビスアートラボ・名古屋
   マーチ part ・/ケンジタキギャラリー・名古屋
   Report"at the flat"in Edinburgh/sakurayama studio・名古屋
2007 キリングタイムVol.2/学食2F(愛知県立芸術大学内)・長久手
   真夜中のSHOW TIME/アートフェチ・名古屋
   City_net Asia 2007/ソウル市美術館・韓国
   TOKONAMECH`07/元丸利陶管工場、art&design rin`・常滑
   NEWS/ケンジタキギャラリー・名古屋

2008 野外研究/みのかも文化の森、美濃加茂市民ミュージアム 野外・美濃加茂
2009 NINE/ケンジタキギャラリー・東京

ワークショップ
2008 裏・夏休み なにかしら 作ってみよ-/愛知県美術館・名古屋

■展覧会スケジュール
VOCA展
会期:3月15日(日)~30日(月)
時間:10:00~17:00(金曜日のみ19:00まで、入場は閉館30分前まで)
会場:上野の森美術館
入場料:一般・大学生500円

THE CAVE
会期:3月25日(水)~29日(日)
時間:9:30~17:00(入場は16:30まで、最終日は16:00まで)
会場:名古屋市博物館三階第七展示室
参加作家:織田真二、川見俊、佐藤克久、田口美穂、中嶌佳秀、前川祐一郎

写真:川見俊《地方の家25》パネルにペンキ、90×90cm、2007年