アートホリックな人のいまをお届けするこのコーナー。今回は、アーティストの青田真也さんにお話をうかがいました。
青田さんといえば日常的な既製品やおもちゃの表面を削った作品が代表的ですが、どういうところから着想されたのですが?
もともとかたちを曖昧にしたいという思いがあって、版画でしかも立体的に作ろうとしていました。
ただやはり技術やいろいろな限界があって、本物を使ってやってみればいいんじゃないかと考えて今の方法を試してみました。
その時にいろんな事が目の前で起きて、これはおもしろいなと考えて始めました。
表面を削ることを通して表現したいことはなんですか?
表現したいことと聞かれると「なぜ作品を作っているのですか?」というような質問と同じで困ってしまうのですが…。それでもこの作品を通していろんな物や事に囲まれて日々過ごしているのだなということにいつも気付かされます。
大学、大学院を通して版画を学ばれていますが、そのことは現在の作品にどう生かされていると思いますか?
直接的に版画の作品を制作していなくても作るプロセスなど繋がっているのかなと漠然と考えたりもしますが、どうなんでしょうか。
でもたまに版画の作品も作ったりもしますし、考え方とかエディションが取れることとかおもしろいなと思います。
昨年は神戸アートビレッジセンターが公募する若手支援プログラムに選ばれ「1 floor 2008 "No potato of name"」に参加されましたが、そこではどんな展示をされたのですか?
KAVCでは3人での展示だったのですが、ギャラリースペースとコミュニティスペースの繋がる2つを1つの空間と考えて展示をしました。僕が『もの』を見せて、八嶋有司さんが映像で吉田周平さんがインスタレーションでした。一見3人の方向性がバラバラに見えるのかもしれないと思ったのですが、見た人には繋がりがあるのではと言われました。
またこの展覧会に参加されて何か得たものはありますか?
作家3人とKAVCの方たちで一から展覧会を立ち上げたのですが、普段作品を作っているだけではわからないようなことをたくさん知りました。あと人の繋がりも大きいですね。
10月10日から始まる、あいちトリエンナーレ2010プレイベント「長者町プロジェクト2009」にも参加されますが「長者町プロジェクト2009」とはどういう展覧会なのですか?
「長者町プロジェクト2009」はあいちトリエンナーレ2010のプレイベントで、来年のトリエンナーレでも長者町地区を使って様々なアーティストの方が展示されるようなのですが、それに先駆けて展覧会が行われます。出品作家は僕の他に淺井裕介さん、トーチカ、KOSUGE1-16、山本高之さん、 石田達郎さん、川見俊さん、斉と公平太さん、ジム・オヴェルメンさんです。会期中には作品展示以外にもパフォーマンスやワークショップなどイベントがたくさん催されます。僕も川見くんと小杉滋樹さん、タン・ルイさんとワークショップを行う予定です。詳しくはhttp://aichitriennale.jp/index.phpにアップされるようです。
「長者町プロジェクト2009」では青田さんのどんな展示が見られそうですか?
既製品を削る作品を以前作ったものから新しく作っているものまで何点か展示する予定です。他にもあるのですがいろいろと変化しそうなのでこの辺にしておきます。
あと別ですが宮崎知恵さんと僕とで、「長者町プロジェクト2009」を含めた3つのプレイベントのスタンプラリーのデザインをさせてもらいました。そちらも楽しんでもらえればと思います。
京都と愛知で学ばれた青田さんですが、東海エリアのアートシーンについてどう思いますか?
人との距離が近くて良いのかなあと思います。好きな作家さんもたくさんいます。
青田 真也 (AOTA Shinya)
1982 大阪府生まれ
2004 - 2005 Rhode Island School of Design(アメリカ)に交換留学
2006 京都精華大学芸術学部造形学科版画専攻 卒業
2008 愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻 修了
Edinburgh College of Artにて滞在制作
おもな個展
2005 「個展 」(Benson Hall Gallery/アメリカ)
2008 「years, months, weeks, days」(Sleeper Gallery/エディンバラ)
おもなグループ展
2004 「版読」 (京都精華大学ギャラリーフロール)
2005 「Art Camp in Kunst-Bau」 (Gallery Yamaguchi Kunst-Bau/大阪)
2006 「THE NEW FACES」 (石田大成社ホール/京都)
2007 「INDIRECT」 (長久手中央図書館/愛知)
「真夜中のSHOW TIME」 (Gallery アートフェチ/愛知)
「City-net Asia 2007」 (ソウル市立美術館/韓国)
「TOKONAMECH’07」 (元常滑丸利陶管工場/愛知)
2008 「1floor –No Potato of Name-」 (Kobe Art Village center/兵庫)
「群馬青年ビエンナーレ2008」 (群馬県立近代美術館)
2009「青田真也・西園淳」 (Gallery IND./大阪)
「長坂常:スキーマ建築計画“HAPPA HOTEL”」アートワークで参加
(青山|目黒/東京)
受賞歴
2008 群馬青年ビエンナーレ2008 奨励賞
その他
2008 ワークショップ「なにかしらつくってみよー」 (愛知県美術館)
青田真也、川見俊、小杉滋樹、タン・ルイ
写真:《 》木、170×300×190mm、2008年、作家蔵