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2011年9月16日金曜日

アーティスト・ジャンボスズキ

アートホリックな人のいまをお届けするこのコーナー。今回は、2人展が開催中でアートラボあいちにも作品を展示中のアーティスト、ジャンボスズキさんにお話をうかがいました。


アートとの出会いを教えてください
子供の頃から絵を描くのは好きでした。でもそれは落書きみたいなもので、高校の美術の授業で初めて油絵を描きました。初めて使った油絵具が「なんだ、これは!」というくらい衝撃的でした。

美大を受験しようと思ったのはなぜですか?
僕の高校は就職する人が多く、でも就職したくないなあと進学を検討するうちに美大に行きたいなあと。でも美大に行けるとは思っていませんでした。建築系の専門学校に進学する人はいましたが、美大に進んだのはおそらく僕が初めて。卒業後しばらくは本を見てデッサンを練習していましたが、周りと比べたことがなく、自分が置かれている状況がわかりませんでした。1浪して受けた美大の入試で、ほかの人がいるところで絵を描いてみて自分の実力を思い知り、そこから予備校へ行きました。

See Saw gallery+cafeで二人展をされている長谷川繁さんは大学の恩師ですよね?
2年生の時、授業で出会いました。本格的に教わったのは3年生の時ですが、長谷川さんの存在は、僕の展開に大きな影響力を及ぼしたと思います。授業に「1000本ドローイング」とうのがあったのですが、SeeSawに展示したドローイングはその時に描いた作品です。


作品に影響を受けていると思うところはありますか?
自分では長谷川さんと似てると思ったことはありませんが、今回も並べてみたら違和感がありませんでした。長谷川さんとは距離が近いので、あえて作品が影響されないように意識しています。でも、似てると言われることに嫌な気はしません。

どのように絵をつくっていくのですか?
時期によって微妙に違いますが、ドローイングをもとにしているのは一貫しています。紙などに描きなぐった中から出てきたモチーフから構築していきます。最近では、まず頭の中でドローイングをしてから、いけそうだったら手で描いてみて、そこからいきなりキャンバスに描いていきます。途中でかなり変わっていきますが、そこがかえっておもしろいです。
自分としては描く物の質感が重要で、その物本来の質感というより絵の中での質感が大事なので、納得いくまで描き続けます。たとえば、生肉にしてもパンにしても描く時に写真を見ることはありますが、忠実に再現しません。きっかけにするだけで、「肉はこうだ」という自分がイメージする質感を表現します。

山が生肉だったり、雲がパンだったりと、身近なモチーフがしばしば思いがけないイメージになって描かれていますね
具体的な物を描く時は一般的で誰もがわかる物を心がけますが、固有名詞がある物はそこからイメージが広がりにくいので避けています。誰でもわかる物を描きながらも、わかりやすい絵は描きたくないと思っています。生肉を山にしたのは、その形がおもしろいと思ったからです。

今回アートラボあいちに展示された作品の見どころについて教えてください
《連山》は、OJUNさんの企画で現代ハイツというギャラリーで発表したもの。これは拝戸さんが選ばれましたが、もう一枚の《モーニング・セット》は《連山》だけで大丈夫か心配で、念のために持ってきた作品です。《連山》とのバランスを考えて自分で選びました。見る人にはどう見ていただいてもいいですが、ただ「山だな」とそこで止まってしまうのではなくて、作品から自由にイメージを広げてほしいです。それを僕にフィードバックしてくれると、今後の展開をそこから考えることができるのでうれしいです。

スズキさんが絵を描き続けているのはなぜですか?
描き始めたばかりなので、まだまだ未知の領域があるんじゃないかと。本当はさらっと描いた作品が好きなのですが、これでもかと描いてしまい、なかなかさらっと終わらせられないのは、まだその域まで到達していないからだと思います。

See Sawでの後期展示が9/13から始まりましたね
100号の新作を展示するのでそれを見てほしいです。トヨタアートコレクションとなっている《冠婚葬祭》の延長上にある作品です。

東海のアートシーンについてどう思われますか?
名古屋で活動している同世代の友人達は自主運営のスペースを作ったり、後輩の学生はさまざまな人に呼びかけて、一つの大きな展示を企画したりしています。若い人達がアートシーンに対して、積極的に働きかけていると思います。


■ジャンボスズキ プロフィール
1980年 東京都に生まれる
2007年 名古屋造形大学美術学科卒業

【グループ展】
2005年「百花繚乱」BOICE PLANNING(神奈川)
2007年「アウトレンジ 2007」文房堂ギャラリー(東京)
2008年「DRAWING」TIME&STYLE MIDTOWN(東京)
   「VOCA展 2008」上野の森美術館(東京)
   「生まれつつある現在 2008 −5人の作家によるー」文房堂ギャラリー(東京)
   「ART man」豊田市美術館(愛知)
   「THE NEXT」Gallery Stump Kamakura(神奈川)
   「99人展」名古屋市民ギャラリー矢田(愛知)
2009年「名古屋造形同窓会40周年記念展」名古屋市民ギャラリー矢田(愛知)
   「echo」文房堂ギャラリー(東京)
   「アテンプト2/Attempt」カスヤの森現代美術館(神奈川)
2010年「ショコラ・デル・トロ・フチュウ」LOOP HOLE(東京)
   「node vol.1」東京造形大学内 学生運営 gallery node(東京)
   「群馬青年ビエンナーレ 2010」群馬県立近代美術館(群馬)
   「千代かИван」現代HEIGHTS(東京)
   「LOVE CALL」KICHIO GARAGE(神奈川)
   「TDW-ART ジャラパゴス展」(東京)
2011年「Art in an Office 印象派・近代日本画から現代絵画まで」豊田市美術館(愛知)
   「Art for Tomorrow」tokyo wonder site shibuya(東京)
   「ジャンボスズキ × 長谷川繁」gallery+cafe see saw(愛知)

【個展】
2011年「Mille Lacs Lake」LOOP HOLE(東京)
   「ALAプロジェクト1」ART LAB AICHI(愛知)

【その他】
2008年 横浜アート&ホームコレクション(神奈川)
2010年 アート天国「虎の巻」2010(東京)
2011年 ART TAIPEI 2011(台北)

■展覧会情報
ジャンボスズキ × 長谷川繁
会期/開催中~10月15日(土) 12:00-17:00、12:00-19:00(金・土) 日・月休
会場/See Saw gallery+cafe(名古屋市瑞穂区蜜柑山町2-29)
※9月17日(土)15:00~アーティストトーク、参加費500円(ワンドリンク付)、要申し込み
詳細は→http://www.cafe-see-saw.com